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1波による中波ステレオ放送の開発は昔から行われていたものの、FMステレオ放送の開始が先だったために、本格的に実用化されはじめたのは1980年代に入ってからだった。アメリカで方式が乱立した経緯があり、また、AMステレオよりもFMステレオの方が遥かに音質が良いこともあるため、余り普及されていないのが実情である。
AM1波によるステレオ放送の開発は、1926年11月、アメリカ電信電話会社(現在のAT&T)のP.K.ポッターが直交変調方式(QUAM方式)を発明し特許を取ったことが最初である。これは後のモトローラ方式の基礎となっている。
1975年9月、AMステレオ放送の実施に向けてそれを行いたい全米のAM局が集まって、全米AMステレオラジオ委員会(NAMSRC)を設立。実験放送や討議を行い、1977年12月、連邦通信委員会(FCC)に報告書を提出した。これを受けFCCは1978年、AMステレオの標準方式を決めるために、カーン方式(ISB方式)、モトローラ方式(C-QUAM方式)、マグナボックス方式(AM-PM方式)、ベラー方式(AM-FM方式)、ハリス方式(VCPM方式)の計5方式を選定。その後、NAMSRCによって再度実験、討議され、その中から1979年、NAMSRCはマグナボックス方式を標準方式として決定した。FCCもこれを受けて同方式を1980年4月に標準方式として仮決定したが、その後他のメーカーや放送技術者からの異議申し立てがあり撤回され、1982年3月、FCCは統一方式を決めず、5方式全てを認可する決定を下し、自由競争に任せた。
その後米では1982年7月、米のKDKA、KTSAの2局が、カーン方式による全米初のAMステレオ放送の本放送を開始した。しかしその後、アメリカの大手自動車メーカーであるGM、クライスラー、フォード等が車載するAMステレオラジオ(米デルコ社製など)としてモトローラ方式(C-QUAM方式)を採用することがきっかけで、モトローラ方式を採用するAMラジオ局が多くなった。これを機に、1984年10月にオーストラリアで、その後相次いでAMラジオ放送の標準方式としてモトローラ方式を採用する国が多くなった。その後、日本、カナダを始め各国でAMステレオの標準方式としてモトローラ方式を採用したり、全米でもAMステレオを実施しているほとんどの局がモトローラ方式を採用するようになったため、1993年、FCCは遂に同方式をAMステレオの標準方式とする決定を下した。
日本では1991年にモトローラ方式を標準方式と決定。1992年3月15日にモトローラ式によって東京と大阪にあるTBS(現・TBSラジオ&コミュニケーションズ)、文化放送(QR)、ニッポン放送(LF)、ABC、MBSの民放5局でステレオ放送がスタート。ラジオ大阪(OBC)は新社屋完成を待って1993年から開始した。その後も各地で順次ステレオ放送が開始された。
しかし、NHKは実施しておらず大都市と一部地域の民放局に留まっている。また実施局も一部の局を除いて親局のみ対応。2007年4月1日にはKBCラジオが、2008年9月29日には熊本放送がステレオ放送を終了し従来のモノラル放送に戻したため、今後の発展は難しい。また対応受信機も寡少となっており、ソニーが放送開始初期に発売した機種の一部が現在も継続販売されているのみである。